プログラミングが難しすぎても、モチベーションを高く維持しながら学習を続けられていますか?
今回は報酬系予測を上手く使うことで、通常は難しすぎて挫折が多いプログラミング学習を続ける方法を紹介します。
1日1分程度で出来る方法ですので是非試してみて下さい!
報酬系予測とは?
報酬系予測とは、簡単に言うと目標を達成した際にご褒美が得られることを予測することです。
今回は、モノだけでなく色んな報酬を脳に与えれる方法を紹介します。
分かりやすい報酬を紹介すると、InstagramやTwitter、FacebookなどのSNSで「いいね!」をもらうと嬉しくて、もっと欲しくなったことはありませんか?
2016年にカリフォルニア大学のLauren E. Shermanらに発表された研究にて、「いいね!」の効果が確認されました。
13~18歳の30名の青年に「いいね!」の数が違う写真を見せて、脳内の変化をfMRI(動的に脳内の変化を計測できる機器)で計測しました。
その結果、報酬系を含む様々な神経領域の活性化を確認されたのです。
沢山の人が「いいね!」を欲しくなるのは、脳の報酬系を刺激しているためということが判明しました。
プログラミング学習の課題が終わったらコーヒーを飲んだり、美味しい物を食べたりしているから既に実践しているという方もいらっしゃるかと思います。
物も報酬系を活性化させますが、お金を使わなかったり、仕事にも応用できる、脳が報酬を感じるようにダマしてしまうための方法を次のセクションから紹介していきます。
報酬系予測を上手く使う方法
報酬系活性化の方法① ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションとは、日常生活をゲーム化することです。
ゲームはもともと報酬系を刺激するために設計されていますので、実生活をゲーム化するにも応用できます。
ゲームをしていると実際に報酬系が活性化するということが、2017年にカタルーニャ・オベルタ大学のMarc Palausらの研究により発表されています。
この研究は、ゲームにより脳の機能的・構造的変化に言及した116件の過去の研究に関する知見を統合しています。
- 報酬が期待されるときとされない場合には、脳(大脳皮質と尾部)が明らかに変化する。
- ゲーム中毒プレーヤーと報酬メカニズムには密接な関係があった。
など、報酬系とゲームには密接に関係していることが確認されました。
ゲーミフィケーションを実生活に活かすと効果があることを総括したのがタンペレ大学のJuho Hamariらの研究です。
過去に実施された24件の研究に関する知見を以下のようにまとめています。
- ゲーミフィケーションを導入すると、ユーザーの活動性・社会的交流・または行動の質や生産性の向上が確認された。
- 教育・学習の文脈で実施された研究はすべて、ゲーミフィケーションの学習成果はほとんどがポジティブだった。
- 一方、ゲーミフィケーションのデメリットとして競争の激化による悪影響も確認された。
日本でも、東京工科大学の岸本らによってゲーミフィケーションの効果を確認されています。
この研究では、大学教育にゲーミフィケーションを応用しています。
以下の6つの要素を授業に取り込み、約120名の大学生に実験しました。
- 達成可能な目標設定
- 成長の可視化
- 称賛演出
- 能動的参加
- 即時フィードバック
- 自己表現
その結果、9 割を超える受講生より「授業に集中できた」「学習意欲が高まった」との回答を得られています。
ゲーミフィケーションの影響の正確なことに関しては現在研究が進んでいる最中ですが、ナゾトキの松丸さんも家庭で実践していたという記事もありましたので、効果があるかもしれませんね!
ゲーミフィケーションをプログラミング学習に応用させるには、
- 達成可能な目標設定➡(少し頑張れば出来そうなので)教科書を3周
- 成長の可視化➡毎日学習した教科書のページ数を記録し、グラフ化
- 称賛演出➡先生や仲間に頑張りを褒めてもらう(自分だけでは実践するのは厳しそうですね)
- 能動的参加➡先生に積極的に質問する、不明点は自分で調査
- 即時フィードバック➡コンパイラしてプログラムの正当性を確認
- 自己表現➡コードに自分で考えた工夫を導入
のようにしてみてはどうでしょうか?
報酬系活性化の方法② 社会的促進を利用する
社会的促進とは、近くに人がいると、パフォーマンスが向上するという現象です。
2016年にリヨン大学のElisabetta Monfardiniらの研究によって、アカゲザルを用いて社会的促進の効果を検証されています。
アカゲザルはミラーニューロンの発見の実験にも使用されており、社会神経科学では使用されることの多い動物です。
以下の2パターンを用意して、「画面を触る回数」と「脳の変化」を比較しました。(画面を触ると飴が手に入ることは訓練されています。)
- 2匹のサルを別々の檻に入れて、一方のサルは画面を触ると飴が手に入る装置の中、もう一方のサルは装置中のサルを見ているパターン
- 他のサルは見ておらず、画面を触ると飴が手に入る装置の中
その結果、他のサルが見ていた方が単独条件よりも3倍多くなっています。
さらに、PET画像からも他のサルが見ていた方が脳の報酬系領域の活性化が確認されました。
これをプログラミング学習に活かすためには、例えばカフェやコワーキングスペースなどで仕事をするのがいいかもしれません。
もしくは、オンラインでもカメラを起動して仕事をした方が良い可能性もありますね。
脳が周囲からの高評価という報酬を得るために、タスクに集中しやすくなると考えられます。
報酬系活性化の方法③ 仕事の後のビール効果
休日に飲むよりも、仕事の後にビールを飲む方が美味しく感じたことはありませんか?
これまで何となく確かにそうだよなと実感していた方が多いかと思いますが、これは脳の中で変化が起きていたのです。
2019年に玉川大学の田中らの研究によって、報酬を得るための努力がその報酬の価値を上げる脳のメカニズムが世界で初めて確認されました。
ニホンザル2頭を使って以下のようなハイコストとローコストの課題を課し、ドーパミンニューロンの活動を確認しました。
- ハイコスト:報酬であるジュースを得るために、目の前の画面に呈示される点を1秒以上見つめ続けなければならない
- ローコスト:ジュースが与えられるまで、画面のどこを見ていても構わない
その結果、ハイコストの方がローコストよりも1.5倍程度ドーパミンの分泌量が高くなることが判明しました。
さらに、別の実験でハイコストの方がローコストよりも学習の効果が高くなることも分かったのです!
プログラミング学習は難しく挫折することも多いかと思います。
しかし、難しければ難しいほど、その後に得られるご褒美は素晴らしい物になり、かつ脳に定着することが脳科学的に判明したので、その喜びを得るためにも頑張ってみるのもアリかもしれませんね。
まとめ
私もプログラミング学習の際は、プログラミングスクールに通っていても何度も挫折しそうになりました。
しかし、最後まで達成することが出来たのは、プログラミングスクールで社会的促進や仕事の後のビール効果などを無意識のうちに利用していたからかと思っています。
今回紹介した方法で応用できそうな方法がありましたら、是非使ってみて下さい!
◆報酬系予測の利用方法として、以下の3つを紹介
①ゲーミフィケーション:日常生活をゲーム化すること
②社会的促進:他者の存在による効果を利用すること
③仕事の後のビール効果:報酬を得るための努力がその報酬の価値を上げること