パソコンの上に新聞を置いた様子

プログラミング学習は、理系よりも文系の方が有利なことが脳研究で判明

パソコンの上に新聞を置いた様子

数学が苦手もしくは文系だからプログラミングを習得するのは難しいと思い込んでいませんか?

もしそうであれば、ノーシーボ効果(ノセボ効果)で損しているかもしれません。

プログラミングには数学的思考も必要ですが、数学よりも必要なのは言語能力だということが判明しました。

本記事は、理系よりも文系の方がプログラミング習得には有利ということを科学的根拠を元に説明します。

「文系=プログラミングに向いてない」は思い込み

常識という言葉に縛られている様子

思い込みにはプラスの作用をするプラシーボ効果と、マイナスの作用をするノーシーボ効果(ノセボ効果)があります。

ノーシーボ効果(ノセボ効果)とは、「効果がない偽薬でも副作用が出る」の意味です。

これは薬以外にも起こる効果ということが分かっています。

例えば、2007年にトリノ大学のF.Benedettiらに実施された研究ではノーシーボ効果(ノセボ効果)は否定的な結果を口頭で示唆することでも成立すると発表されています。

その理由を簡単に解説します。

否定的な言葉による暗示は不安を誘発し、不安が胆嚢刺激ホルモン(CCK)の活性化を誘発します。

CCKとは中枢神経系にも存在しており、神経伝達物質もしくは神経調節因子として不安・運動・痛み・行動および記憶などに影響すると考えられています。

つまり否定的なことを口にしていると実際に否定的なことが起こりうるということです。

そのため、「プログラミングを習得するには文系だと不利になる」と考えている方は思い込みによって損している可能性があります。

最新の研究結果から、文系の方がプログラミングに向いている可能性があるということを次のセクションで紹介します。

数学よりもプログラミング習得に必要な能力

これまで大学などの教育機関は数学に重点を置いたプログラミング教育を実施してきましたが、数学的な能力よりも別の能力の方がプログラミング習得に必要であることが判明しました。

今回、理系よりも文系の方の方が優れていそうな能力を2つ紹介します。

プログラミング習得に必要な能力① 言語能力

新聞の上に虫眼鏡を置いた様子

1つ目は「言語能力」です。

2020年にワシントン大学のChantel S. Pratらの研究により、プログラミングに必要な能力は数学力よりも言語能力ということが判明しました。

Chantel S. Pratらは、プログラミング適性の神経認知的基盤に関する研究では、「コンピュータ・プログラミング言語がプログラマーのコミュニケーション構造(人間の言語)に似せて設計されているという事実がほとんど見落とされている」ことに着目して実験を行いました。

プログラミング経験のない18~35歳の健康な若年成人37名(女性26名)の協力の元、言語能力・計算能力・推論能力などを測定しプログラミング学習前後で比較しました。

その結果、プログラミング言語の成績と最も強い相関関係があったのは数学的な能力ではなく言語能力でした。

なんと、プログラミング学習速度には言語能力が70%の影響力があったのです!

これまで重視されていた計算力や推論能力を合算しても30%程度にしかならない驚愕の事実が判明しました!

また、脳波計を用いてプログラミング時に脳のどの領域を使用しているのかが計測されました。プログラミングの成績が高い人は第二言語(この論文ではフランス語)学習時に使用する右前頭側頭のβ波の出力が高いという結果が得られました。

つまり、プログラミング学習には第2外国語学習と同じ脳の領域を使っていることが明らかになったのです。

プログラミング習得に必要な能力② 音声理解力

音声を理解しようとしている女性

2つ目は音声理解力です。

2020年にケムニッツ大学のJanet Siegmundらにより発表された研究があります。

17人の大学生が12個のプログラミングコードを理解している最中に、fMRIという脳内の活動を調べる機械を用いて計測しました。

すると、数学的・論理的推論に関連した認知プロセスは観察されず、言語処理に関連する脳の領域の活性化が確認されたのです!ここでの言語処理とは、会話をしている時と同じ脳の領域で音声理解力を意味します。

2017年に実施されたJ. Siegmundらの研究でも、今回と同様の結果が得られていることから、プログラミング理解には言語処理に関する領域が重要な役割を担っていると筆者らは結論付けています。

近年、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)、脳波(EEG)、機能的近赤外分光法(fNIRS)などの脳イメージングという技術が発達しプログラミング時に活性化する脳の領域がだんだんと明らかになってきました。

現時点でも複数のプロジェクトが進行し有望な結果が得られているとのことですので、数年以内にプログラミング学習は難しいという概念が無くなるかもしれませんね。

文系出身のITエンジニアの割合

パソコンでビデオ会議をする女性

上記より数学的な能力よりも、言語処理能力の方が大切ということが判明しました。教科に例えるのであれば、数学よりも国語の方がプログラミング習得に重要ということです。

理系大学では授業でプログラミングを学習することが多いため理系には経験という意味でメリットがありますが、プログラミングを学習する能力という観点では文系の方が有利ということも出来るかと思います。

近年、文系出身者のITエンジニアが増えてきている感触がありましたので、実際はどうなのかを検証してみました。

以下は企業で働くITエンジニアの専攻別のグラフです。

2020年のIPAのIT人材調査報告書には掲載されていませんでしたので、2017年版のものから引用しています。

IT技術者の最終学歴での専攻を表したグラフ
引用元:IPAのIT人材白書2017

上図を見ると、文系出身のシステムエンジニアやプログラマーなどのITエンジニアは全体で37.6%(内訳は経済学:15.9%、文学系9.1%、法学系:6.3%、社会学系:3.5%、その他の文学系(商学系、外国語系、哲学・宗教系):2.8%)います。

つまり、ITエンジニアの約4割は文系出身ということが分かります。

システムエンジニアに関してはプログラミング技術というよりも、文章作成(要件定義、検討報告書など)が重要なので理系よりも文章作成が得意な傾向がある文系出身の方が重宝されるのではないかと個人的に考えています。

また、過去に比べると文系出身のITエンジニアの割合は増加傾向にありそうです。以下は2010年のIT人材調査報告書によると、文系の割合は26.6%(内訳は社会科学:16.9%、人文科学:9.7%)でした。

T技術者の最終学歴での専攻2010

引用元:IPAのIT人材白書2010

2010年から2017年の7年間で、文系出身エンジニアの割合は約1.5倍にもなっていることが分かります。

最近ここまで文系出身人材が増えている理由は、「創造力」や「コミュニケーション能力」を重視している企業が増えてきたのではないかと考えています。

この主張の根拠の元となるデータとして、2010年にIT企業宛に実施された”情報系人材(プログラミングを大学で学んだ人材)と他情報系人材に関するアンケート”の回答があります。

情報系の人材は技術関連の能力に関しては優れていますが、「創造力」など他の点に関しては大差ないという結果です。

IT業界は常に新しいアイデアを生み出す必要があるため、異なった人材の「創造力」を活用することはとても大切になっています。

また、「コミュニケーション能力」に関しては、情報系人材は他の学部よりも劣っていると回答した企業が約3割もいます。

近年ITの普及でシステムが複雑傾向にあり、1人でやり切れる仕事は少なくなっています。そのため、技術力よりもチームで円滑に開発できるコミュニケーション能力も重視され始めているのではないでしょうか。

他専攻と情報専攻の比較2010

引用元:IPAのIT人材白書2010

まとめ

文系出身の方でもプログラミングを習得し、ITエンジニアになっている方は周りでもたくさんいらっしゃいます。

チームに1人でも文系出身者の方がいらっしゃると、理系出身の方とは異なる視点の意見をくれることが多いのでとても楽しく仕事を進めることが出来ています。

文系出身だからプログラミングは難しいと決めつけず、手に職を身につけたいのであれば習い事からでも始めてみることがおすすめです。

◆「文系=プログラミング習得が不利」というのは思い込み
◆文系出身者は、プログラミング習得に有利
◆プログラミング習得には、言語処理能力や音声理解力が重要
◆文系出身のITエンジニアは全体の約4割で、近年増加傾向にある
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