あなたは普段のどが渇く前に水分補給していますか?
補給していなければ、脳が本来の性能を発揮できていないかもしれません。
実は喉の渇きを感じる前に水分補給しないと、脳のパフォーマンスが下がることが最新の脳科学の研究で判明しています!
水分不足は子供から年配の方まで全ての方に悪影響を及ぼします。
喉の渇きを感じてから水を飲んでも遅い!?
以下の表より、喉に渇きを感じるようになるのは2%の水分が減少してからになります。
水分減少率 (体重に占める割合) | 主な脱水症状 |
---|---|
2% | のどの渇き |
3% | 強い渇き、ぼんやりする、食欲不振 |
4% | 皮膚の紅潮、イライラする、体温上昇、疲労困ぱい、尿量の減少と濃縮 |
5% | 頭痛、熱にうだる感じ |
8~10% | 身体動揺、けいれん |
20%以上 | 無尿、死亡 |
1%の減少に関してのデータが上記の表にはありませんが、喉が渇く前の状態である1%の減少では問題ないのでしょうか?
コネチカット大学のアームストロング博士らから2012年に発表された研究より、
1%の減少だと「記憶力の低下や認知エラーが発生する」
ことが分かっています。
体が脱水状態になると体に悪影響があるという様々な研究結果を以下に簡単に紹介します。
■女性のみを対象にした研究
2011年にコネチカット大学のLawrence E. Armstrongが発表した論文があります。
23歳前後の25名の女性にて5.6km/hで40分間歩行させた後に様々なテストが実施されました。
その結果、1%程度の脱水は元気や疲労・頭痛の増加や集中困難などの主要な気分状態に悪影響を及ぼしましたが、認知能力(警戒心、反応時間、学習、作業記憶、論理的推論など)には影響を及ぼしませんでした。
また、安静時か運動時に関わらず上記の傾向があることが分かりました。
Abstract. Limited information is available regarding the eff…
■男性のみを対象にした研究
2011年にケンブリッジ大学のMatthew S. Ganioに実施された研究があります。
年齢0~20歳の男性26名に、5~6km/hで40分間歩行した運動後または15分間イスに座り安静にした安静時の比較実験が実施されました。
男性において高熱を伴わない軽度の脱水は、警戒心と作業記憶の悪影響な変化を誘発し、緊張/不安感と疲労感を増加することが確認されています。
Mild dehydration impairs cognitive performance and mood of m…
■子供のみを対象にした研究
研究のために子供に脱水症状状態にするのは道徳的な観点から意図的には実施されていませんが、暑い気候に住んでいるため偶発的に実施されたのが2012年にカリャリ大学のRoberta Faddaの研究です。
9~11歳の168名の児童(女性86名、男性82名)を対象に記憶や計算、言語的な類推など様々なテストが実施されました。
その結果、学校での水分補給が短期記憶に有益な効果をもたらすことが示唆されており教育の現場に応用することも考えられています。
We investigated the beneficial effects of drinking supplemen…
■年配の方のみを対象にした研究
若年層の男女と同じような脱水に伴う症状が年配の方にも発現することが分かっています。
これら以外にも、年配の方には脱水は脳梗塞や心筋梗塞にも繋がるとされている研究があります。
2005年に国立長寿医療センター病院の岡本らによって発表された以下の研究によると、コップ5杯以上の水を飲む人は2杯以下しか飲まない人より心筋梗塞の発祥が低いとされています。
このように幅広い年齢層で、脱水による体への悪影響が報告されています。
水の飲みすぎには注意
脱水を防ぐために水を飲むのが大切と書きましたが、飲みすぎには注意が必要です。
水中毒という言葉をご存知でしょうか?
水中毒とは、「過剰の水分摂取(1時間に1リットル以上)により生じる中毒症状」です。
人間の腎臓の機能以上に水分を摂取することで生じ、低ナトリウム血症や痙攣を起こします。
一日中水を飲んだり、著しい場合には一日に10リットル以上の水を飲む場合もある症状です。
精神疾患の患者さんに多いと言われています。
普通に生活していれば水中毒になることはないのですが、運動の際だけには注意した方が良いです。
2010年にTimothy D.Noakes et al.がスポーツの最中に発生した水中毒とその解決方法に関しての研究結果を発表しています。
4人のアスリートが7時間以上の持久力競技中に水中毒を発症しまいたが、「水分摂取量を減らすor複数回に分けて飲む」ようにアドバイスされ競技を無事に完走したという報告があります。
NOAKES, TIMOTHY D., NEIL GOODWIN, BRIAN L. RAYNER, TREVOR BR…
少し怖い話をしましたが、どんな食べ物でも過剰に摂取し過ぎると健康に悪いのは感覚的に分かるかと思いますので、常識の範囲内で水を飲むのは問題ありません。
水の正しい飲み方
一日に摂取する必要がある水は2.5リットルと言われていますが、水分として食べ物の中にも含まれていますので、どれくらい水を摂取しなければならないかは食生活によって違ってきます。
欧米では水の摂取源に関する信頼できる研究結果が報告されていますが、日本では現時点では報告されていません。
そのため、日本人が必要な水分量は不明ですが欧米人を対象にした研究結果も参考には出来るであろうと考え、調査してみました。
E Jéquier氏とF Constant氏によって水分補給に必要な量を欧米を対象に実施された研究があります。
年齢・性別・気候・身体活動に応じて変動しますが平均化すると、座って仕事をしがちな多い人は水分補給として1日1.5リットルの水を飲むべきであるいう報告がされています。
How much water we really need depends on water functions and…
運動をする方(1日の消費カロリ-:3600キロカロリー)に必要な水分量は、座って作業をしがちな人(1日の消費カロリ-:1900キロカロリー)の2~6倍にも達するという報告がありました。
そのため、上記の研究より運動をする方は1日3~9リットルの水を飲むべきという計算になります。
水の定期的摂取の効果を体験してみた
水に関するメリット・デメリットを理解した上で、定期的な水分摂取の効果を自分で試してみました。
一日に1.5リットルの水の摂取が必要ですが、私は毎日コップ一杯程度(200ml)の水しか摂取していませんでした。
毎日500g程度の野菜を摂取していますので、野菜から水分を得ていることが関係しているのかと考えました。
しかし、野菜500gを全て水と考えても1.5リットルには到底届かないので、私は自分が気づかない水が不足している状態になっている可能性があると判断しました。
そのため、定期的に水を摂取するとある程度の効果は出るのではないかという期待を込めて実践してみました。
自分の状態だとどれくらい摂取すればいいか今まで喉が渇いても面倒だからといって水を飲まないこともありましたが、いきなりたくさんの量を定期的に飲むようにするのは難しいです。
まずは現状よりも多くの量の水の摂取を目指して効果があるかを確認することにしました。
これまでの水の摂取量は200ml程度でしたので、500ml取ることにしました。
また、定期的に冷蔵庫やウォーターサーバーまで行くのが面倒なので、500mlペットボトルを常に持ち歩くことで定期的な水の摂取をすることが出来るようになりました。
私は2~3時間に1回は喉が渇く傾向がありましたので、水摂取の間隔は1時間に1回に設定しました。
自分で1か月試してみた結果、
- ボーっとすることが減った
- イライラすることが減った
- 長く集中できるようになった
という効果がありました。
水の定期的な摂取の効果は様々な研究から立証されていますので、勉強時の集中力や記憶力向上や子供の教育に試してみる価値はあるかと思います。
今回は水を飲むことで、集中力や記憶力など脳のパフォーマンスが向上するという研究の紹介をしました。
これだけでなく健康面からも体に良い効果があるという研究も多数ありますので、別の記事で紹介させてください。
◆1時間に1リットル以上の水分摂取は危険である
◆1日の水分摂取の推奨量は、
座って仕事をする方:1.5リットル
運動をする方:3~9リットル
◆定期的に水を飲むようにすると、体感できるほどの効果をこの記事の著者も体感できた